会長ブログ

『心と行動のガイドライン』の繙き(ひもとき) (2)

『心と行動のガイドライン』の繙き(ひもとき) (2)

❷「おかげさま」と「おたがいさま」

 

「おかげさま」

 

「おかげさま」を実感するとき、私たちは豊かな心持になり、幸せを感じているのではないでしょうか。

それは人のお蔭を蒙ることによって、お蔭を蒙れるだけの価値を自分自身に見出すことができるからでもあります。

 

例えば、母は自分を犠牲にして子を育てます。

子は母の自己犠牲によって、自分が母にとって掛け替えのない価値のある存在であることに気づくことができるのです。

そして、そこで自覚できた自己価値が、子にとって生きていく力の源泉となるのです。

愛こそが人を育てると言いますが、自己犠牲こそが人を育てると言い換えてもいいのかもしれません。

 

しかし、愛や自己犠牲が生きる力になるためには、自分が愛や自己犠牲の結晶であることに気付かなくてはなりません。

本人がそのことに気付かない限り、生きる力に転換できないのです。

だからこそ、「おかげさま」に気付くことが大事になるのです。

そして、多くの「おかげさま」に気付ける人ほど、自己価値は大きくなり、幸せになると同時に強くなることができるのです。

 

これは職場であっても同じことです。

上司が部下を育てるために、自分の時間を犠牲にしてくれていること。

自分の周りの同僚たちが、自分の仕事の手を止めて助けてくれていること。

そんなことに「おかげさま」を感じ取れる人は、幸せになれると同時に、自分も上司や周りの人たちのお役に立とうと努力するようになる。

こうして、助け合いのある職場になっていくのです。

 

「おたがいさま」

 

最近のSNS上での誹謗中傷には、目を覆いたくなるものがあります。

相手から自分の正体が見えないことを良いことにして、自分の不完全さを棚に上げて、相手の不完全さを攻撃し、時によっては相手を自殺にまで追い込む。

果ては、そんな攻撃の巧みな人物が英雄扱いまでされる始末です。

こんな卑劣な行為が広く受け入れられてしまう根元には、心の荒みがあるように思います。

心の荒んだ集団や社会には、心の平穏はあり得ず、そこでの暮らしは決して心地の良いものにはなりません。

 

「おたがいさま」という言葉は許容と寛容を生み、人に居場所を与えます。

そして、そこから支え合いの風土が生まれ、皆が前を向いて生きていける集団と社会になっていくことができるのです。

 

世界の三大心理学者と言われるアルフレッド・アドラーは、人の幸も不幸も人間関係によって決まると言っています。

そして、その人間関係のゴールは、居場所であるとも言っています。

私たちの会社が社員みんなにとって居場所になるかどうかは、一人ひとりの幸・不幸を決めるとても切実な問題です。

それを自覚するとき、「おかげさま」と「おたがいさま」が、私たちにとってどれだけ大事な言葉であるかが理解されてくるはずです。

 

幸と不幸の間には、それほど大きな隔たりはないのかもしれません。

ほんの小さな心掛けでの違いで、私たちが住む世界は大きく変わっていくことになる。

そのことを常に念頭に置いて、仲間を大切にし、いい人間関係をつくる努力を続けていかねばなりません。