社長ブログ

森信三語録(六)

森信三語録(六)

仕事について ①

 

職業とは、人間各自がその「生」を支えると共に、さらにこの地上に生を享けたことの意義を実現するために不可避の道である。

されば職業即天職観に、人々はもっと徹すべきであろう。

(森信三)

 

ここに掲げたのは、森信三先生が仕事観を端的に述べられた一文です。

仕事の意義は、一つには自分の生活のためであることは、言うまでもありません。

ここが趣味やボランティアとは違うところで、食わねばならないからこそ切実なのです。

しかし、いかに切実とはいえ、食えたらそれでいいのかと言えば、それでは「この地上に生を享けたことの意義を実現」したことにはならないし、まして「職業即天職観」からは遥かに遠いと言わざるをえません。

 

森先生が仰られる「この地上に生を享けたことの意義」を私なりに解釈すると、社会によって生かされていることへの感謝に基づいて、自分の職責を通して社会に貢献することなのだと思います。

この社会はそれを構成する人々の仕事によって、支え支えられて存続しています。

支えられていることに感謝して、それを支え返すこと。

それが自己の価値を高めることになり、「この地上に生を享けた意義の実現」になるのです。

 

当社の「心と行動の指針」で『常に感謝を忘れない』を掲げているのは、以上の背景があるのです。

そこには続いて「感謝の心が真の力を生み出す」としていますが、本当の感謝にはその人の全能力を引き出す力があり、その人の悔いなき人生の原動力となるのです。

 

また、森先生はこうも仰られています。

 

人間の生涯を通じて実現せられる価値は、その人が人生における自分の使命の意義を、いかほど深く自覚して生きるか否かに比例する。

 

この言葉の趣旨は、以前ブログにも投稿した三人の石工の話によく表現されています。

ある人が現場で働いている三人の石工に「何をしているのか」と問いかけます。

一人目の石工は「石を積んでいる」と答えます。

二人目の石工は「教会をつくるために石を積んでいる」と答えます。

三人目の石工は「町の人たちの心の拠り所になる教会をつくるために石を積んでいる」と答えます。

三人の石工の中で、一番楽しく仕事をし、一番良い仕事をするのは、もうここに答えを書く必要もないでしょう。

 

ことほど左様に、その人が自覚する自己の職責の意義に比例して、その人が一生の間に仕事を通してつくりあげる価値は決まってくるのです。

だからこそ、顧客本位を単なるセールストークにしてはならず、人生を生きがいのあるものにするためにこそ、顧客本位である必要があるのです。

 

私も人生の終盤にさしかかり、人生を振り返ることも多くなりました。

自分の使命の自覚が足りなかったのではないかと後悔を覚えることもあります。

人生は若い頃に思っていたほど長くはありませんでした。

まさに光陰矢の如し。

「人生二度なし」の感は、齢を重ねるごとに深くなります。

この感慨をみなさんに伝えるのは、ある意味私の使命の一つだとも思えるのです。

 

この森長工務店を皆さんの生きがいある人生の舞台にしていただきたい。

この「地上に生を享けた意義を実現する」場にして欲しいのです。

それが当社の一番の存在意義だと思います。