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レモンの苗木

レモンの苗木

こんにちは 営業部のIです。

 

私の妻は毎年レモンの苗木を買ってきて、レモンの実がなるのを楽しみにしています。

しかし、毎年レモンの葉を食べられて、レモンの実がなるまで育ちません。

 

昨年、孫が来てレモンの葉に卵がついているのを見つけて、妻にこれは何の卵かたずねていました。

妻がアゲハチョウの卵だと教えると、孫は喜んで家に持ち帰りました。

しばらくすると卵がかえり幼虫になりました。

 

 

その幼虫を見て、私の息子夫婦は

「アゲハチョウの幼虫ではない。

 アゲハチョウの幼虫は青虫だからこれは青虫ではない。

 ガの幼虫だから捨ててしまいなさい。」

と孫に言いました。

 

孫は半べそで、妻に

「ばあば、本当にアゲハチョウになるの?

 何故 青虫でないの?」

と真剣にたずねてきました。

 

妻は最初から青虫になっているのではなく、葉をたべるから青虫になるのだと教えました。

しかし孫はなかなか納得できないようで、幼虫の入った飼育ビンを置いて帰ってしまいました。

 

私もアゲハチョウの幼虫は青虫だと思っていたのですが、妻は幼虫に毎日レモンの新鮮な葉をあげていました。

幼虫は本当に一生懸命レモンの葉をたべます。

しかし、私自身は幼虫がなかなか青虫にならないので、幼虫のことをすっかり忘れていました。

 

ある日妻から青虫に進化したと告げられ、幼虫を見ると、なんとまるまる太った青虫になっていたのです。

私は驚きと感動でしばらく青虫の動きをみていました。

絵本のはらぺこ青虫同様、しきりにレモンの葉をたべています。

 

青虫になったことを孫に知らせたらと言うと、妻はもう連絡した、孫は次の日曜日に見に来るとのことでした。

日曜日になり、孫がやってきて飼育箱をしきりに眺め、青虫の動きを目でおっていました。

そして妻に「本当に青虫になったね。」と、妻が正しかったことを喜んでいました。

 

家に持って帰ればと勧めたが、持って帰らない、ここにおいておくと言って帰っていきました。

孫にすれば、飼育箱を持って帰れば、息子たちが間違っていたことを思い出させるのが良くないと思っているようでした。

それよりも、アゲハチョウになるまで妻にしっかりと育ててほしい。

そしてサナギになれば連絡してほしいと言います。

 

青虫からサナギには、なかなかなりません。

このままではレモンの葉がなくなるのではないか、と思うほど一生懸命にレモンの葉を食べます。

 

季節は秋に向かい、庭の木も色づき始めます。

レモンの葉をなくなれば、ミカンの葉でもあげようかと思っていたところ、その思いとは裏腹に青虫が全く動かなくなりました。

 

どうしたのかと妻に問いかけると、青虫からサナギへと移り変わったのだと教えられました。

間近で青虫からサナギに変わることを私も見たことがありません。

急いで孫に連絡し、次の休みに見に来ることになりました。

 

孫がやってきてサナギを見て、絵本の中のサナギと同じだと感心していました。

サナギを持って帰ればどうかと勧めたが孫はきっぱりと断り、やはりアゲハチョウになるまで妻に育ててほしいといって帰っていきます。

 

私は毎日サナギをながめては、

「早くアゲハチョウにならないか。」

「もうすぐ冬になればアゲハチョウになってもすぐに死んでしまうのではないか。」

「幾日たってもサナギからアゲハチョウにかえらないので、サナギのまま死んでしまったのではないか。」

と妻に繰り返し尋ねました。

そんな時、いつも妻はあきれ返った顔をして、本当に昆虫や植物のことを知らないのだなという顔をして私を見ます。

 

ある日、妻からメールが来て、そこにはきれいなアゲハチョウになった姿が写し出されていました。

 

 

 

孫も、息子も、そして勿論私も感動しました。

孫はため息をつきながら

「ばあばは、どうして金魚や昆虫や花を育てるのが上手なの?

 どうして自分は金魚や花を上手に育てることができないのかなぁ・・・・・・。」

となげいていました。

妻は自然や田舎が好きで自然観察が好きで、花や金魚や動物や昆虫なんでも丁寧に愛情をこめて生懸命に話しかけながら大切に育てます。

孫にも、一生懸命にゆっくりと話しかけながら、愛情をもって育てることがコツだとを話していました。

 

レモンの木に実はなりませんでしたが、アゲハチョウは育ちました。

 

 

今年もレモンの苗木を買うかどうかは分かりません。

妻も、今年こそはレモンの実がなりますように、と思っているのかな。

それともまた、アゲハチョウを育てるためにレモンの苗木を買うのかな。

 

いづれにしても生き物を育てるということは 本当に大変だなと思います。